百草園の部屋
(野澤 遵宜)
暮らしの記
~芝居しています~
会社卒業後の人生どう過ごすかと考えた時、どうせなら残された時間今迄と全く違う道を歩いてみたいと思うようになりました。
「観る側から演ずる側へ」というキャッチコピーで明治座が「明治座アカデミー」という俳優養成学校を開設との新聞記事を思い出し、面白そうだとミドルシニア部のオーディションに応募、入学がかない18ヶ月、舞台の基礎から映像での演技、時代劇の所作 殺陣、、、最後に舞台公演に向けてのワークショップと稽古、そして2007年11月浅草公会堂にて卒業公演、川口松太郎作(しぐれ酒より)「女の意地」粋な和服姿の大旦那役、貫録をつけ堂々と演ずる場でしたが口はカラカラ台詞は飛び、緊張のため冷や汗タラタラのとんだ初舞台でした。何はともあれ終わった後の安堵感と達成感、しかし情けなくもふがいなさ、今まで経験したことのないこの時の何とも言えない思いが芝居を続ける原動力になりました。 その後アカデミー同期生有志により演劇集団「MAロッキーズ」を立ち上げ2009年より活動、本年1月十周年記念第10回公演を行いました。 ロッキーズはプロダクションもスポンサーもないので、毎回公演メンバーの中から幹事を数人選び、公演日程、劇場、脚本、そして演出家を決めスタートします。それから各自分担して稽古場の確保、チラシ作成、チケット販売等行い、また演出家の指示の下、衣装小物類等も準備します。公演前々日には舞台づくりの手伝いもし、最終日の公演が終るとすぐに今度は舞台の取り壊し、撤収作業に入り劇場使用部分の全てを元通りにして終了となります。芝居を終えたばかりの舞台の取り壊し作業は毎度感傷的になりますが、一方これで終ったとホッとする解放感もあり複雑な心境です。 芝居を始めて約10年、今はロッキーズ以外の舞台にも年2~3回出演、老若男女上下も利害関係もない対等な仲間と の出会いに感謝し、色々な役柄を楽しんでます。これからも程よい緊張感を持って演出家の「恥も外聞も捨てろ、役になり切れ、なりふり構わず一生懸命やれ、そして楽しめ」の言葉を忘れず新たな出会いを求めもう少し芝居を続けてみたいと思っています。 |
ソーントン・ワイルダー作 「わが町」
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